1.【背景】中国語、発音良ければ全てよし
著名な中国語教育者の相原茂さんは「中国語、発音良ければ全てよし」というほど中国語の発音の重要性を説いています。
相原さんがそのようにいう理由は、次のようなものです。
いい発音をすると、気持ちがいいから、どんどん話します。
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話せば正しい発音が脳と心にしみこむわけですから、中国語に親しみ、上達するようになります。こうして、非常にいい「正の循環」が生まれて、どんどん中国語がうまくなります。↓
中国の方も、あなたの発音はいいとほめてくれます。人にはほめられ、自分も気持ちがいい、そして話も通ずるわけですから、こんなによいことはありません。どんどん中国語ができるようになる。↓
中国語 発音よければ すべてよし!事実、よい発音をする人で、中国語ができないという人にはお目にかかったことがありません。
たしかに、発音ができて気持ちよくなり、褒められればどんどん話し上達するでしょう。さらに、「発音がよくで中国語ができない人はいない」と書かれているように、発音は4技能(スピーキング、リスニング、リーディング、ライティング)の核となるコア能力を表すものです。発音をよくすることを意識して学習を進めることが効率的です。
2.【目標設定】発音学習は、まず、どこを目指すべきか
発音の基礎を固めるためには具体的にどうすればいいでしょうか。そこには明確な目標を設定することが重要です。以下の2つを上手に読むことができれば、中国語の発音の基礎は十分といえるでしょう。
- 「410音節表」(日本語の五十音表のようなもの)
- 「声調20パターン」(二音節の声調の組み合わせ)
まずは、ここを確実に固めればその後の学習が飛躍的に楽になります。
3.【背景】中国語の発音はそこまで難しくない
中国語の発音は難しいと言われます。それは、日本語の五十音表にあたる音節表が400以上もあり、さらに四声(声調)という音節単位での音の高低を含めると1600もの音を発音しなければいけなくなるからです。
しかし、これは得体のしれないものに対する先入観です。実際、次のような理由から中国語の発音はそこまで難しいものではないと言えます。
体系的な学習をすれば難しくはない
しかし、実際、体系的な学習をすれば習得は難しくありません。効率的な道筋もなくただ闇雲に1600の音を習得すれば大変なことになりますが、効率的な方法があります。
漢字の読み方が一つしかない
日本語は音読みと訓読みを始め、重箱読みや湯桶読みなど、何故?と思ってしまうほどバラエティに富んだ読み方があります。中国語はそれがほぼありません!「音」という漢字ですと「yin1」という読み方のみで、日本語のように「おと」「おん」「ね」など複数ありません。
長めの発話も一語一語の積み上げ(音の変化なし)
中国語の場合音の変化がありません。英語の場合、文や文章などの長めの発話になると音が変化します。stand up は「スタンダッ」、like it は「ライキッ」など音の連結、good morning「グッモーニン」などの音の消失、文中のhimのように「ィム」など弱形など、多くの規則があります。中国語の場合基本的にこうした変化がありません。一語一語の発音の積み上げで発話しますので、スピーキングもリスニングも英語に比べて断然取り組みやすいといえます。
4.【勉強法】中国語発音の体系的・効率的な学び方
発音基礎固めの目標がわかったところで、それら2つをマスターするための勉強法を説明します。
- 「410音節表」(日本語の五十音表のようなもの)
- 「声調20パターン」(二音節の声調の組み合わせ)
410音節表
まず、「410音節表」を全て読めるようになりましょう。「410音節表」をきちんと発音できるようになるためには、単母音、複母音、子音等、段階的に着実に身につけていきます。
- 以下の発音方法の知識を学び、技術習得のためのトレーニングを行います。
- 四声
- 単母音(基本)
- 複母音
- 子音
- 鼻母音
- 単母音(特殊)
- 410音節表
学習のポイント
「410音節表」について理解しましょう。
※音節=通常一まとまりの音として意識され、発音される単位
日本語でいう五十音図のようなものです。数が410音と多いので気が遠くなっていしまいそうですが心配いりません。母音と子音の組み合わせなので、各母音と子音を身につけてしまえばそこまで難しくありません。
母音
母音とは、日本語のアイウエオのように「肺から出る空気が口の中を自由に通って妨げを受けない音」です。
母音は38種類あります。多く見えますが基本は6種類の単母音です。あとは特殊な単母音が少しあり、その他は単母音の組み合わせである複母音か末尾にnやngがついたものです。基本の6種類の単母音をまずは徹底して習得してください。ここが不安定だとそれがベースとなる多くの母音に影響が出てしまいます。
母音(38種類)
- 単母音(9種類)
- 基本単母音(6種類)a, o, u, e, i, ü ←【重要】全ての母音の基礎
- 特殊単母音(3種類)er, (z,c,s)i, (zh,ch,sh)i
- 複母音(13種類)
- 二重母音 ai,ei,ao,ou,ia,ie,ua,uo,üe
- 三重母音 iao,iou,uai,uei
- 鼻母音(16種類)
- an, uan, ian, uan, ang, uang, iang
- in, ün, ing
- en, uen, eng, ueng
- ong, iong
子音
子音とは「日本語の「パpa」のpや「タta」のtなどのように、肺から出る空気が唇・歯・舌などの妨げを受けて出る音」です。中国語の子音は必ず母音を伴って音節となり、子音同士が直接結びつくことはありません。
子音については、以下の1〜3はローマ字読みの感覚に少し注意をすれば乗り越えられます。4〜6はローマ字表記とは異なる意識での発音が必要ですが、それを理解すれば難しくありません。
子音(21種類)
- 唇音(しんおん) b,p,m,f
- 舌尖音(ぜっせんおん) d,t,n,l
- 舌根音(ぜっこんおん) g,k,h
- 舌面音(ぜつめんおん) j,q,x
- そり舌音(そりしたおん)zh,ch,sh,r
- 舌歯音(ぜっしおん)z,c,s
声調20パターン
「410の音節表」をマスターしたら(※)次に、「声調20パターン」を全て読めるようになりましょう。「声調20パターン」を全て上手に発音できるようになることが目標です。そこにいたるまで漢字、軽声・変調・多音語など段階的に着実に身につけていきます。
※完璧にするのは難しいのでまずは7割程度できたら次に進んでいいでしょう。ただし、必ず戻って100%できるまで練習しましょう。
以下の発音方法の知識を学び、技術習得のためトレーニングをします。
- 漢字
- 軽声・変調・多音語
- 声調20パターン
注意点
声調20パターンは、20パターンを一気に身につけることがポイントです。一気に全てを学ぶことで違いが明確になります。少しづつではなく、短い期間で一気に集中して身につけましょう。
以上です。
まとめ
いかがでしょうか。中国語の発音の基礎を固める方法が具体的に理解できたのではないでしょうか。
中国語は、発音が全てです。これができれば4技能がバランスよく身につきます。また、発音ルールはシンプルですし、体系的に学べば難しくありません。
具体的な勉強法は、単母音から積み上げていき410音節表をうまく発音できるようになってから声調20パターンをマスターします。各母音と子音の特徴を理解し、全体を一気に学ぶことが効率的です。
ここで紹介した発音の学習法は、「中国語独学完全マップ」で学習タスクに落とし込んで具体的に体現されています。是非ご利用ください。
加油〜!